シビックプライドとは?その重要性と形成・醸成のポイント5つを解説
近年、地方創生が重要視されているなかで、「シビックプライド」というキーワードが注目されています。
でも実際に言葉の意味を理解しているという方は意外と少ないのではないでしょうか?
今回は、地方創生やまちおこしにおいて重要な視点である、「シビックプライド」について解説していきます。
1.シビックプライドとは
そもそも、シビックプライドとはどういったものなのでしょうか。
シビックプライドは、「市民の/都市の」という意味の「Civic」と、「誇り」を意味する「Pride」から成り立つ言葉であり、「都市に対する市民の誇り」といった概念で使われることが多いです。
似たような言葉として「郷土愛」や「地元愛」が挙げられますが、これとは少し異なります。
郷土愛や地元愛は、自分が生まれ育った場所に対する愛着を指すことが多いですが、シビックプライドの場合は、それに限定されません。
「特定の地域を愛し、その地域をより良くしていこう、地域に貢献していこう」という思いがシビックプライドであり、生まれた地域だけではなく、移住先などの地域に対する誇りもシビックプライドに当てはまることになります。
また、単純な愛着だけではないという点も注目すべきといえます。
好きという思いだけではなく、地域に貢献していきたいという、積極的な心意気がシビックプライドには含まれています。
つまりシビックプライドは、「生まれ育った地域に限らず、自身が思いを寄せる特定の地域に誇りを持ち、積極的・能動的に地方創生につながるような行動をしようとする意識・思い・心意気」とまとめることができるでしょう。
2.シビックプライドの起源
シビックプライドという概念が生まれたのは19世紀のイギリスといわれています。
この頃は、18世紀中期から19世紀初頭に産業革命が起こり、各地に大都市が生まれているという状況でした。
この大きな変革により、これまでの王族や教会が都市の中心として機能する社会から、市民階級が力をつけるように変わっていきました。
そして、市民の中で「自分たちで、新たな都市づくりを行うことこそが社会的なミッションであり、誇りである」という動きが活発になっていきました。
こういった思いのもと、市民主導での公園や図書館、学校などの公共施設や街づくりが行われるようになったのです。
この市民が能動的に地域を創っていくという意識や心意気は、まさしくシビックプライドであり、次第にイギリスだけでなく世界中で広まっていくようになりました。
3.シビックプライドが注目されている背景
ここまでは、シビックプライドの概要について解説してきました。
ではなぜ、今このシビックプライドが注目されているのでしょうか。簡単に言ってしまえば、地方創生やシティプロモーションにおいて良い効果が見込めると期待されているからです。
各地方自治体が発表しているシティプロモーションの指針や基本方針の中でもシビックプライドについて触れられており、様々な効果があると記載されています。
下記のようなものがよく挙げられているでしょう。
◆定住・Uターン人口の増加
◆来訪者から定住者への移行
◆定住志向の高まりによる転出者の抑制
◆地方創生への参画意識の向上
◆市民による情報発信の増加
シビックプライドを醸成することにより、地方創生の活性化、特に人口の増加に寄与すると捉えている自治体は非常に多いです。
人口の維持・増加はどの自治体にとっても必須の取り組みであるため、それに貢献するシビックプライドが注目されているといえるでしょう。
4.シビックプライド形成・醸成のポイント5選
地方創生やまちおこしにおいて重要となるシビックプライドですが、シビックプライドを市民に形成してもらい、またそれを醸成していくためには、どういった点がポイントとなるでしょうか。
具体的な施策なども交えながらそれぞれ紹介していきます。
①定期的な外部への発信
一つ目は定期的な情報発信です。
どんなに魅力的な取り組みを行っていたとしても、知ってもらわなければ十分な効果を発揮することはできません。
特に、実施している自治体側としては伝えているつもりでも、市民には伝えきれていないというケースは非常に多いでしょう。
市民の方が誇りを感じるような魅力的なものを、定期的に発信し、伝えていくことがシビックプライド形成の第一歩となるでしょう。
近年は動画やSNSといった取り組みやすいデジタル施策も増えてきているため、まずはそれらからスタートしていくことがおすすめです。
②キャンペーンの実施
二つ目はキャンペーンの実施です。
ひとつ前に紹介したような定期的な情報発信以外にも、突発的なキャンペーンを行うことも効果的です。
こういったイベントやキャンペーンを開催した際に集まる市民の方は、同じ目的のために行動を起こすことになるため、同じ思いをもってもらいやすくなります。
地域の誇りにつながるようなキャンペーンの開催も、シビックプライド形成・醸成のために検討していくべきでしょう
③参加型イベントの開催
三つ目は参加型イベントの開催です。
ひとつ前のキャンペーンと似ている部分も多いですが、参加型にすることにより能動的になるよう市民の方に働きかけることができます。
お祭りや、伝統行事といったものがわかりやすいでしょう。
また、近年ではデジタルツールを活用した参加型イベントも開催されています。
④方針・制度の整備
四つ目は、方針や制度の整備です。
シビックプライドの形成・醸成は自治体が主導で行うケースがほとんどです。
そのため、自治体の議会などで施策方針を打ち出していくことも大切です。
また、同様に市民が住みやすい、好きになってくれるような地域になるよう制度や環境を整備していくことも重要といえるでしょう。
こういった、自治体にしかできないことには確実に取り組んでいくようにしましょう。
⑤教育のなかでの浸透
五つ目は、教育の中でのシビックプライドの形成・醸成です。
小中学校の地域学習の時間などを活用し、義務教育のなかでその地域に対する愛着を持ってもらい、シビックプライドの形成につなげていくというのも良い方法でしょう。
こうした取り組みは学校だけでなく、地元の企業や施設などとも協力して進めていくことで、より有意義なものになります。
地域一体となって進めていけるようにコントロールすることが大切です。
5.まとめ
いかがだったでしょうか?
シビックプライドは、地方創生やまちおこし、シティプロモーションのために非常に重要な概念の一つになります。
概要を理解し、市民の方に誇りを持ってもらえるような発信を行ってみてはいかがでしょうか。
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