やってしまった…失敗例から学びたい、町おこし3例
1.はじめに
現在まで多くの事例があり、成功した事例に反し、失敗した事例も多く存在する、町おこし。
なんとしても新規事業を起こし地域を活性化しなければ!という熱い想いがあるにもかかわらず、失敗してしまうことも多々見られるのも事実です。
社会を守り活性化する取り組みとして正しいことをしているはずなのに、うまくいかなかった…
予算もしっかり使ってしまっているので、尚更失望感も大きく感じられます。
「失敗があるから、次の成功がある!」ということもあります。
過去の失敗例を踏まえた「町おこし戦略」が、「失敗しない町おこし」につながっていくのです。
2. 作ったけど売れない!新規特産品開発の落とし穴
新しい特産品を作るために確保された数千万円の予算が、3年間で実質溶けてしまった事例があります。
ある町では国からの交付金を活用して、町の顔になるべき新しい商品を作ろうと、ある団体に委託。
委託を受けた民間業者が4年間の事業として発酵食品などの開発に取り組んだと言います。
3年間で投入された予算は合計4000万円近くにも上りました。
しかし、3年目の売上高目標1億円のところ、現実にはたったの数万円(発酵食品販売数約300個分)しか売り上げていないという、極めて深刻な状況が明らかになりました。
同町の議会も紛糾、結局同町は国から交付を受けた分の全額を返還することを決めたようです。
当然のことながら、新たな事業を始めるうえで必要な資金を集めるには、それに対応した計画が求められるはずです。
大きな予算を目標に掲げた案件は、多額の予算を獲得するために、求められるような大がかりで華々しい計画を組み立てていくことになります。
また、計画の審査において、理想的だと思われるような計画やプランを作成することが優先されがちです。
そこでは「本当に実行可能であるかどうか」という、ごく当たり前の「現実性」は、二の次になります。
その自治体の規模にあったプランの構築が、成功への近道であることは言うまでもありません。
予算ありきではなく、実現し成功するにはいくら必要なのか、その判断が大切なのです。
3.デリケートな「アニメの聖地」問題
一時期話題となった、アニメやドラマの聖地めぐり。
ワイドショーなどでも盛んに報道されていた記憶がある方も多いでしょう。
大きな経済効果を生んだ成功例もありますが、うまく行かなかった失敗例も累々と積み上げられているのです。
アニメの舞台に大勢のファンが訪れ、経済効果も期待される聖地巡礼。
聖地は全国各地に広がっています。
ある市では、かつてネットでたたかれ、一部のネット民に罵倒され続けました。
アニメツーリズム協会が発表した「訪れてみたい日本のアニメ聖地88(2018年版)」の一つにも選ばれたその場所が、なぜたたかれてしまったのでしょうか?
理由のひとつとしては、通常はファンの間で「ここが舞台のモデルでは?」と盛り上がることが自然で、アニメの製作発表のときから舞台として名前が出てしまっていたために放送後に盛り上がるという流れにならなかったようです。
地元でイベントに携わる推進委員会によると、自治体がアニメのストーリーに介入したのではないかという疑念が生まれてしまったからだ、という推測があるそうです。
自治体からアニメの舞台に使ってくれとアプローチしたという声もありますが、全くの錯誤だったそうです。
作品性やストーリー性以前に、負のイメージ、たたくべき対象という認識が認知されて一人歩きしてしまったようです。
地元が意図しなかった評価に、自治体側には一時ショックが広がりました。
しかし、実際にアニメの聖地として足を運んでくれている方もいたそうです。
「ほかの聖地と比べて、地域との密着度がすごい」という真反対の評価と、ファンが訪れたという実績がなかったという結果でもないのです。
失敗事例のひとつして紹介させていただきましたが、何が「失敗」で何が「成功」なのかの判断自体が難しいのかもしれません。
自治体からの出費はなく、誘客ができたととらえるのならば「成功」であり、自治体のマイナスイメージが定着してしまった面だけみれば「失敗」となります。
ファンの気持ちがからむ町おこし案件は、とてもデリケートな部分があることをしっかり踏まえておきましょう。
4.大切に育てたい、ゆるキャラの存在
テレビで最後の「ゆるキャラグランプリ」開催のニュースがありました。
普通にブームが終わった、というのが世間一般の印象です。
では、ゆるキャラで地域活性化・町おこしは無理だったのでしょうか?
「テレビでもあまり見かけなくなったし、ゆるキャラは完全に飽きられたでしょ!」と指摘する声も巷ではちらほら聞かれます。
主に単純にブームが去った…といった観点で語っています。
飽きが来るのはブームの常ですから、これは事実でしょう。
一時は地方自治体でも人気キャラクターを作ることが町おこしの一番の近道とも言われましたが、庶民をゆる~く楽しませるためのものが、いつの間にか職員の組織票やゴリ押しが取り沙汰されたり、さらに各業界でもキャラクターの乱立が起こり、世間が食傷気味になってしまったんですね。
ブームが終わった根本の理由として、「乱立」してしまったという点も否めません。
町おこし・地域活性化は真似できないものでないと成功しづらいのですが、ゆるキャラはどこの地域でも作れるがために、他の地域との差別化が難しいものでした。
なので、町おこしとしては成功しづらかったと考えられます。
本来ゆるキャラはお金をかけていないためにゆるいデザインだったのですが、ゆるキャラブーム後はかなりお金をかけた自治体もあったと思われます。
先の職員による組織票なども人件費がかかってしまっています。
これからの時代、ゆるキャラを「使う」か「使わない」かの判断も予算に絡んできます。
地元の顔に「なってしまった」愛らしいキャラクターを生かすも殺すも、使う側の自治体の判断となってきます。
他にないアイディアでアプローチツールとして活用することが、ゆるキャラたちの正しい使い方なのかもしれません。
5.まとめ
町おこしや地域活性化は、失敗や たいして利益にならない案件も確かにあります。
それは、財政計画やマーケティングノウハウ、地域の協力要請など、原因は多岐に渡っています。
大事なことは、「自分たちの地域に合った町おこし」を行うことです。
成功事例をただ真似しただけの町おこしは、失敗につながります。
我が町ならではの魅力、特色、強みをまず知り、それを活用することが、成功を掴むコツなのかもしれません。
他地域の失敗事例や理由から、自分たちの地域課題や特徴を踏まえた上で、町おこしを行っていくことが重要でしょう。
まちおこし.comでは、まちおこしに関する企画や販促のサポートをしております。
まちおこしの企画に悩んでいる、地元の観光のPRを強化したい、上手くいっているまちおこしの取り組みを教えて欲しいなど
こういったご相談をお持ちの方は、まちおこし.comまでお問い合わせください。